上虎(うえとら)寝たきりゲーム研究所(Uetora Netakiri Game Kenkyusyo)【ツイッター:@ue_tora】

「寝たきり障害者ゲーマー」の上虎(うえとら)と申します。「デュシェンヌ型筋ジス(DMD)」という難病の患者で、重度身体障害者です。寝たきり/人工呼吸器ユーザー(気管切開)。重度身体障害者は普通のゲームコントローラーを使えない場合が多いので、障害があっても使えるゲーム機への入力手段を研究しています。最近では視線検出装置も使われ始めています。障害があってもみんなと同じゲームがしたい!を応援したいので、障害者の方もしくは障害者の関係者の方で、もし相談・質問等があればメールフォームやツイッターのDM等にお気軽に~

上虎寝たきりゲーム研究所(Uetora Netakiri Game Kenkyusyo)【ツイッター:@ue_tora】

 

福祉用途にも使えるAutoHotkeyのインストールをざっくり解説/How to install Autohotkey on Windows PC

ブログ記事「福祉用途にも使えるAutoHotkeyのインストールをざっくり解説」のサムネイル画像

※この記事では、「障害者ユーザー」「一般ユーザー」の両方を想定しています。

こんにちは。

寝たきりで指先が少しだけ動く

「寝たきり障害者ゲーマー」の上虎(うえとら)

と申します。

【ツイッター:@ue_tora

ユーチューブ note インスタ

ウエトラ君(赤)

軽く自己紹介します。

読み飛ばしてもらっても構いません。

本編にジャンプはコチラ

ウエトラ君(赤)

自分は、ゲームが大好きな重度障害者です。

デュシェンヌ型 筋ジストロフィー」という進行性の筋肉の難病で、人工呼吸器を気管切開で24時間使っています。

自発呼吸はありません。

身体障害の程度は、寝たきりで指先が少しだけ動く感じです。

食事は、飲み込むと誤嚥(ごえん)するので、「胃ろう」(PEG、ペグ)から専用の栄養剤を注入しています。

唾液も、飲み込むと誤嚥(ごえん)するので、「低圧持続吸引機」と「メラチューブ」で24時間吸引し続けています。

ウエトラ君(赤)

ブログ記事は、PCで「ソフトウェアキーボードをマウスでクリック」を繰り返す事で地道に書いています。

障害があるため普通のゲームコントローラーを持てないので、昔はゲームを諦めていたんですが、色々と試行錯誤して再びゲームをできるようになったので、その工夫情報を発信するためにブログを開設しました。

前置きが長くなってしまいましたが、本題に入ります。

かなりマニアックな内容ですが

今回は

  • 福祉用途にも使える
  • キーボードとマウスの入力変換に強い簡易スクリプト言語アプリ
  • AutoHotkey(オートホットキー)
  • のWindowsへのインストール方法

を画像を交えながら、ざっくりと解説していきます。

この記事は、「AutoHotkey」(オートホットキー)というアプリのWindowsへの導入方法をまとめた記事です。

AutoHotkey」(オートホットキー)には色々な使い道がありますが、自分は障害者ユーザーがゲームをする際に立ちはだかる問題点、「押せるボタンが足りない問題」の解決策の1つとして使っています。

後、たまに、このブログに福祉用PC操作アプリもしくはハードウェアが出力するキーボード入力もしくはマウス入力でゲームを操作しようとしたらなぜか無反応とか不安定で困っています、という相談があって、それの解決策として「AutoHotkey」(オートホットキー)を案内する事があるので、それもあって記事にしてみました。

例えば、福祉用PC操作アプリもしくはハードウェアが出力する左クリック押し下げ時間を0.1秒とか0.2秒に伸ばす事で、ゲーム操作の無反応や不安定を解消する、とかですね。

最近で相談を受けたのは、できマウスが出力する左クリックでした。(2021/12現在)

AutoHotkeyの使い方の一例

自分はゲームをする際に、マウスのクリックやホイールやサイドボタンを駆使するんですが、障害があるため普通のキーボードが使えないため、マウスだけではボタン数が足りないので、「AutoHotkey」(オートホットキー)で入力を更にカスタマイズしています。

自分の中では、キーボード・マウス用「JoyToKey」的な位置付けです。

自分の使い方は、同時押しや何回押したか等を駆使して、そもそもゲームするには数が足りていないボタン数で可能な限り多くの種類の入力を作り出す、的な感じです。

ただ、GUIは無いので、スクリプトをテキストエディタで書いていく感じです。

福祉用途に使う場合の例は、最後に書いています。

AutoHotkeyってどんな事ができるの?

  • キーボード、マウス用のアプリです。

    そして、簡易的なスクリプト言語です。

    「スクリプト言語」ではありますが、あくまで「簡易的」なので、一般的なプログラミング言語と比べると簡単です。

  • 次に、できる事の具体例ですが、例えば「F12キー」をカスタマイズすると仮定すると、次のような事ができます。

    • F12を単独で押した時は通常のF12
    • Shift+F12の時は■■■したい
    • Ctrl+F12の時は■■■したい
    • Alt+F12の時は■■■したい
    • F12+Aキーの時は■■■したい
    • F12+Bキーの時は■■■したい
    • F12+Cキーの時は■■■したい
    • F12+マウスホイール上回転の場合は■■■したい
    • F12+マウスホイール下回転の場合は■■■したい
    • 右クリック+マウスホイール上回転の場合は■■■したい
    • 右クリック+マウスホイール下回転の場合は■■■したい
  • 福祉用PC操作アプリもしくはハードウェアが出力するキーボード入力もしくはマウス入力でゲームを操作しようとしたらなぜか無反応とか不安定、というケースがよくあるんですが、「AutoHotkey」を活用すれば、反応するように調整できます。

    例えば、福祉用PC操作アプリもしくはハードウェアが出力する左クリック押し下げ時間を0.1秒とか0.2秒に伸ばす事で、ゲーム操作の無反応や不安定を解消する、とかですね。

    (オペレートナビ、できマウス、ワンキーマウス等)

AutoHotkeyのダウンロード

AutoHotkey公式サイトに行きます。

そして、トップ画面で

「Download」ボタン

をクリックします。

AutoHotkey公式サイトのトップ画面

すると、選択肢が出てくるので

「Download Current Version」ボタン

をクリックします。

AutoHotkey公式サイトのトップ画面でダウンロードするバージョンを選ぶ

すると、Windows用のインストーラー(EXEファイル形式)のダウンロードが開始されます。

2021/12/03時点でのファイル名は次の通りです。

AutoHotkey_1.1.33.10_setup.exe

※「ZIPファイル形式」を使いたい場合は、AutoHotkey公式サイトのトップ画面で「Download」ボタンをクリック→「Other Versions」リンクをクリック、もしくは、コチラのリンクをクリック、でダウンロードページに移動します。

ただし、「ZIPファイル形式」だと、おそらく拡張子の関連付けなどは手動で設定する必要があると思われます。

インストーラー(EXEファイル形式)だと、その辺は自動で設定してくれます。

AutoHotkeyのインストール

先程ダウンロードしたインストーラーを実行します。

すると、次のような画面が出ます。

AutoHotkeyインストーラーを実行してExpress Installationを選択 #1

通常は

「Express Installation」ボタン

をクリックします。

すると、インストールが完了するので

「Exit」ボタン

をクリックします。

これで、インストールは終了です。

AutoHotkeyインストーラーを実行してExpress Installationを選択 #2

AutoHotkeyスクリプトの編集

右クリックメニューから

新規作成→AutoHotkey Script

を選びます。

AutoHotkeyスクリプトの新規作成

すると、「新規 AutoHotkey Script.ahk」が新規作成されるので、右クリックメニューから

Edit Script

を選びます。

AHKファイルの編集 #1

すると、メモ帳が起動するので、英語の内容を一旦、全て消します。

AHKファイルの編集 #2

AHKファイルの編集 #3

次に、例として次の内容をコピペして書き込みます。

これは

「Shift」キーを押しながらマウスホイールを下回転するとキーボードの「1」キーが1秒間(1000ミリ秒間)押される

というスクリプトです。

「書き方をもっと詳しく勉強したい!!」という方は、「AutoHotkey Wiki」を参照してください。

+$WheelDown::
  Send, {1 Down}
  Sleep, 1000
  Send, {1 Up}
  Return

AutoHotkeyスクリプトの例

AutoHotkeyスクリプトの実行

「新規 AutoHotkey Script.ahk」をダブルクリック、もしくは、右クリックメニューから「Run Script」を選ぶ、で実行されます。

AutoHotkeyスクリプトを実行する方法 #1

すると、タスクトレイに

「H」アイコン

が表示されます。

実行中はこのアイコンが出る、と覚えておいてください。

AutoHotkeyスクリプトを実行する方法 #2

AutoHotkeyスクリプトを実行する方法-3

同じAutoHotkeyスクリプトのファイル(AHKファイル)を二重で実行してしまった場合

なお、同じAutoHotkeyスクリプトのファイル(AHKファイル)を二重で実行してしまった場合は、次のようなエラーメッセージが出ますが、「開き直しますか?」という意味なので「はい」ボタンをクリックします。

An older instance of this script is already running. Replace it with this instance? Note: To avoid this message, see #SingleInstance in the help file.

AHKファイルを二重で実行した際に出るエラーメッセージ

AutoHotkeyスクリプトの停止

タスクトレイに表示された「H」アイコンの右クリックメニューから

Exit

を選びます。

すると、「H」アイコンがタスクトレイから消えます。

これで停止完了です。

実行中のAutoHotkeyスクリプトを停止する方法 #1

実行中のAutoHotkeyスクリプトを停止する方法 #2

実行中のAutoHotkeyスクリプトを停止する方法-3

(補足)AutoHotkeyスクリプトのEXEファイル化

「AHKファイル」はEXEファイル化する事も可能です。

ただ、EXEファイル化する事で、ウイルス対策ソフトが怪しいアプリだと誤検知するケースが実際にあったので、EXEファイル化するメリットは無いと思います。

一応、手順を書いておきます。

まず、「新規 AutoHotkey Script.ahk」の右クリックメニューから

Compile Script (GUI)...

を選びます。

f:id:ue-tora:20211128164110p:plain

すると、次のような画面が出るので、「Base File (.bin, .exe)」欄で

■■■■■ Unicode 32-bit.bin

を選びます。

AHKファイルのEXEファイル化 #2

「■■■■■ Unicode 32-bit.bin」を選んだ方が、互換性の面で便利です。

というのは、「■■■■■ Unicode 64-bit.bin」を選んでしまうと、64ビット版Windows上でしか動作しないEXEファイルが作成されてしまうからです。

Windows7時代のPCとかの場合は、32ビット版Windowsの可能性があります。

逆に、「■■■■■ Unicode 32-bit.bin」でEXEファイル化すると、Windowsが32ビット版でも64ビット版でも両方とも動作します。

動作しない組み合わせの場合は、Windows10では次のようなエラーメッセージが出ます。

このアプリはお使いのPCでは実行できません

【エラーメッセージ】AutoHotkeyスクリプトの64ビット版EXEファイルを32ビット版Windows10上で実行しようとした際に表示されるエラーメッセージ

話が脱線しましたが、本題に戻ります。

次に

「> Convert <」ボタン

をクリックします。

AHKファイルのEXEファイル化 #3

すると、次のようなメッセージが出ます。

Successfully compiles as: ■■■■■

AHKファイルのEXEファイル化 #4

これで、「新規 AutoHotkey Script.exe」が作成されました。

AHKファイルのEXEファイル化 #5

AutoHotkeyは福祉用途にも使えるって記事タイトルに書いてあるけど、例えばどんな事ができるの?

  • 福祉用PC操作製品が出力するキーボード入力、マウス入力でゲームを操作しようとしたらなぜか無反応だった、というケースがよくあるんですが、「AutoHotkey」を活用すれば、反応するように調整できます。(オペレートナビ等)

    例えば、次のような、たった5行のスクリプトで調整できます。

    AutoHotkeyをもっと詳しく勉強したい!!」という方は、「AutoHotkey Wiki」を参照してください。

    $a::
      Send, {a Down}
      Sleep, 100
      Send, {a Up}
      Return
  • 障害があるユーザーが

    • コンバーター(Titan TwoかTitan One)
    • マウス
    • キーボード(自分の場合はマウスのサイドボタン)

    を使ってPC経由でゲーム機を操作(もしくはコンバーター無しでPCゲームを直接操作)する際に、押せるボタンの少なさを補うためにマニアックなカスタマイズをしたい場合は、「AutoHotkey」を活用すれば、例えば次のような設定ができます。

    コントローラーを使う場合は、「JoyToKey」という神アプリがあるので、そちらを使ってください。

    AutoHotkey」はキーボード、マウス用です。

    ただし例外として、コントローラーのボタンを押して「JoyToKey」にキーボードのキーを出力させ、それを「AutoHotkey」に渡して、「JoyToKey」に無い機能を「AutoHotkey」で作る、というマニアックなカスタマイズ方法もあります。

    話が脱線しましたが、本題に戻ります。

    例えば、コンバーター(Titan TwoTitan One)で次のような割当を設定していると仮定します。

    • キーボード「上矢印キー」をNintendo Switch「左スティック上」
    • キーボード「下矢印キー」をNintendo Switch「左スティック下」
    • キーボード「左矢印キー」をNintendo Switch「左スティック左」
    • キーボードの「右矢印キー」をNintendo Switch「左スティック右」
    • 「マウスホイール下回転」をNintendo Switch「プラスボタン」

    この時、「AutoHotkey」を活用すれば、例えば次のような変則的な動作をさせる事が可能です。

    キーボードのキーを1つ増やした事で(Shiftキー)、5種類のキーボード、マウス操作で押せるNintendo Switchのボタンが5個から10個に倍増した事になりますね。

    • キーボードのキーを単独で押した時は設定通りの動作
    • 「Shift+上矢印キー」の場合はNintendo Switch「十字ボタン上」
    • 「Shift+下矢印キー」の場合はNintendo Switch「十字ボタン下」
    • 「Shift+左矢印キー」の場合はNintendo Switch「十字ボタン左」
    • 「Shift+右矢印キー」の場合はNintendo Switch「十字ボタン右」
    • 「Shift+マウスホイール下回転」の場合はNintendo Switch「マイナスボタン」
  • Project IRIS」という、視線入力でキーボードのキーを出力できるアプリがあります。

    Project IRIS」にはマクロ機能があるんですが、あまり複雑な事はできません。

    そこで、「AutoHotkey」の出番です。

    Project IRIS」が出力したキーボードのキーを「AutoHotkey」に渡して「Project IRIS」に無い機能を「AutoHotkey」で作る、というマニアックなカスタマイズ方法もあります。

福祉用途にも使える、キーボードとマウスの入力変換に強い簡易スクリプト言語アプリ「AutoHotkey」(オートホットキー) のWindowsへのインストール方法